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2019年9月17日火曜日

◆How "Windows Sonic for Headphones” looks like.:コンテンツ(音源)が左右する、Windows Sonic for Headphonesの効果:その2

 Windows Sonic for Headphonesは、仮想的なマルチチャンネルスピーカーシステムを2chステレオのヘッドホンやイヤホンを利用して表現しようとするものです。

 静的なチャンネルスピーカーだけでなく、Dolby Atmosのようなオブジェクトベースでの音響をも表現しようとしています。

 Windows Sonic for Headphonesは、仮想的なマルチチャンネルスピーカーシステムのようなものなので、その音源としては、マルチチャンネルの音源が適しています。


 では、Windows Sonic for Headphonesは、一体どのような音声処理を行っているのでしょうか。

 パソコンで、Windows Sonic for Headphonesをオンにして、7.1.2チャンネルのスピーカーのテストトーン音声を録音したデータから、Windows Sonic for Headphonesの音声処理がどのようなものなのか、その一端を垣間見ることができました。




■7.1.2チャンネルの10個のスピーカーのテストトーンが順番に流れる動画の音声を録音しました




◆ Windows Sonic for Headphonesの音声処理の特徴:LeftトラックとRightトラックの両方を活用しています

 Windows Sonic for Headphonesをオンにして録音した場合には、Leftのスピーカーの音は、LeftトラックとRightトラックの両方に録音されていました。

 Windows Sonic for Headphonesをオフにして録音した場合は、Leftのスピーカーの音は、Leftトラックだけにしか録音されていないので、そこに大きな違いがあることがわかりました。


◆Windows Sonic for Headphonesをオンにした場合のLeftトラックとRightトラックの音声の特徴は?

 Windows Sonic for Headphonesでは、ヘッドホンやイヤホンの左右2チャンネルの音声出力を活用して音声を表現していることがわかりましたが、例えば、Left(Front Left)、Side Left、Back Left、Top middle Leftの4個のスピーカーのテストトーンが左右の2チャンネルでどのように録音されているのかを見てみました。


■Windows Sonic for Headphonesをオンにした場合のLeftトラックのスペクトル解析結果(左耳に届く音の特徴):左側の各スピーカーのうち3個が同じパターン

 下の図は、Left(Front Left)、Side Left、Back Left、Top middle Leftの方向の異なる各スピーカーのテストトーンが再生されている時のLeftトラックの録音のスペクトル解析結果です。横軸が周波数で、縦軸がレベル(dB)です。つまり、イヤホンの左耳から聴こえる音の特徴です。



■Windows Sonic for Headphonesをオンにした場合のRightトラックのスペクトル解析結果(右耳に届く音の特徴):左側の各スピーカーのうち3個が同じパターン

 下の図は、Left(Front Left)、Side Left、Back Left、Top middle Leftの各スピーカーのテストトーンが再生されている時のRightトラックの録音のスペクトル解析結果です。つまり、イヤホンの右耳から聴こえる音の特徴です。


 左側のスピーカーからの音声なので、Rightトラックの録音のレベル(右耳に届く音声のレベル)は、上の図にあるLeftトラックの録音のレベル(左耳に届く音声のレベル)よりも低くなっています。



 上の2つの図のいずれの場合も、可聴域を超える、20000Hz(20kHz)を超えたところではレベルが急低下しています。Windows Sonic for Headphonesの仕様が48000Hz(48kHz)なので、仕様によるものだと考えられます。

 スピーカーが4個なので、4通りの特徴が見られると予想していましたが、意外なことに、「Side Left」「Back Left」「 Top middle Left」の3つのスピーカーの出力を表現するパターンがほぼ同じになっています。

 「Side Left」「Back Left」「 Top middle Left」のスピーカーの方向の違いは、周波数やレベル以外の要因である「音の時間差」も利用して表しているのかもしれません。

 以上のように、Leftトラック(左耳)とRightトラック(右耳)のそれぞれについてのスペクトル解析の結果から、「Left(Front Left)」と「それ以外」という2つの音声処理のパターンが見られることがわかりました。

 ただし、「Left(Front Left)」以外の「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」は、同じパターンに見えますが、全く同じではなく、わずかな差がありました。


◆「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」の間のわずかな差を見てみました

 もしかすると、誤差なのかもしれませんが、Leftトラック(左耳)とRightトラック(右耳)のそれぞれについて、「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」のテストトーンのレベル(dB)の違いについて見てみました。

 「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」3つのスピーカーのテストトーンのレベルを平均したものと、「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」とのそれぞれの差を見ました。

■Leftトラックの音声のスペクトル解析結果から:3つの平均とそれぞれの差

「Side Left」(青線)、「Back Left」(赤線)、「Top middle Left」(緑線)


■Rightトラックの音声のスペクトル解析結果から:3つの平均とそれぞれの差

「Side Left」(青線)、「Back Left」(赤線)、「Top middle Left」(緑線)
 

 上の2つの図のいずれも、可聴域である、20000Hz以下の周波数では、「Side Left」のレベルがやや高く、「Back Left」「Top middle Left」はほぼ同じになっています。すぐ左にある「Side Left」のスピーカーの音の方が聴こえやすいということが表現されているのでしょうか。

 可聴域を超えている、20000Hz超では、ランダムな感じで上下しています。

 20000Hz以下の周波数では、「Back Left」と「Top middle Left」がほぼ同じレベルになっています。


◆「時間差」はどうなっているのでしょうか
 
 周波数、レベル以外に、「時間差」の要因はどうなっているのでしょうか。下の3つの図は、「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」のそれぞれのテストトーンの音声を録音したLeftトラック(上部)とRightトラック(下部)の波形(dB)です。横軸が時間です。

 「Side Left」「Back Left」「Top middle Left」のスピーカーのいずれの場合も、Leftトラックの録音が始まってから1ミリ秒後(0.001秒後)にRightトラックの録音が始まっています。


■「Side Left」スピーカーのテストトーンの録音の波形(dB)、横軸は時間




■「Back Left」スピーカーのテストトーンの録音の波形(dB)、横軸は時間




■「Top middle Left」スピーカーのテストトーンの録音の波形(dB)、横軸は時間


 
 左右の耳に音が届く微妙な「時間差」が、音の方向の判断に役立っていると考えられています。Windows Sonic for Headphonesの処理も「時間差」を利用しているはずです。

 各スピーカーのテストトーンごとに、録音ソフト「Audacity」の波形を拡大して見ると、Leftトラック(左耳)とRightトラック(右耳)の音声の波形の間に1ミリ秒の差が見られました。

 Leftトラック(左耳)の音よりも、Rightトラック(右耳)の音は1ミリ秒遅れています。なお、ソフトの計測の最小単位が1ミリ秒になっているので、1ミリ秒以下の違いは、知ることができませんでした。
 
 また、Leftトラックの波形をRightトラックの波形が1ミリ秒遅れでなぞっているようですが、Leftトラックの波形と比べて、Rightトラックの波形は単純な形をしているので、左側のスピーカーの音声に対して、Rightトラックの音声には人工的な処理が施されていることがうかがえます。

 下の図は、録音データを「R(seewave)」で読み込んで、「Top middle Left」のスピーカーのテストトーンの波形をより細かく見たものです。上部がLeftトラック、下部がRightトラックです。

 LeftトラックとRightトラックの波形の底の部分の時間を比較すると、時間差は、1ミリ(0.001)秒以下のようです。

「Top middle Left」スピーカーの音声のLeftトラック(上)とRightトラック(下)の波形


◆Windows Sonic for Headphonesの音声処理では、音の「周波数」「レベル」「時間差」といった要素を利用して、立体的音響を表現しようとしています

 以上で見たように、立体音響を表現するために、Windows Sonic for Headphonesは、音声の「周波数」「レベル」「時間差」といった要素を駆使して、しっかりと仕事をしているようです。

 やはり、Netflixなどの5.1ch音声の映画やドラマを観る時には、Windows Sonic for HeadphonesやDolby Atmos for Headphonesをオンにするのは有効であることを確信できました。

 音声処理に利用される「頭部伝達関数(HRTF)」には個人差があるので、立体的効果の有無の感じ方は人によって異なるようですが、Subwooferの効果が得られるということだけでも、Windows Sonic for Headphonesをオンにする理由になると思います。


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